2023/11/05 22:16
入浴は睡眠に良い影響をもたらすことは
あなたも聞いたことがあるかもしれません。
その鍵は「皮膚温度と深部体温の差」
今回はその内容を具体的に解説していきたいと思います。
入眠が促進される瞬間
人の体は眠りに付くための準備段階として
自ら体温を下げることで入眠にいたる
ことがわかっています。
でも寝る時は手足は冷たくなっておらず、
むしろ暖かいですよね?
この理由は温度を下げる部分は深部体温
(脳や臓器など体の中心の温度)だからなのです。
それを行うために皮膚血管が開き熱を放散させているため、
皮膚温度が上がっている状態、ということです。
そして皮膚温度の上昇と深部体温の
両者の温度の差がより縮まったときに
入眠が促進される、という研究結果があります。
入浴のタイミングは就寝1.5時間前
その皮膚温度と深部体温の差を縮まりやすくする
手段として「入浴」があります。
入浴後の皮膚温度と深部体温の差は一時的に大きく広がりますが
その後急激な深部体温の低下とともに熱放散のために
皮膚温度が上昇し、両者の温度差が縮まる、というプロセスです。
入浴のタイミングは就寝1.5時間前が良いとされていますが、
就寝30分前でも入浴の睡眠に対する効果は得られると考えられています。
設定温度は38~40度
深部体温を0.5~1度程度あげることで
寝つきの効果がよくなるといわれています。
そのための入浴の設定温度は、
38〜40度ほどが理想的。
逆に就寝直前の入浴と42度以上の高温浴はNG
就寝直前の入浴は睡眠にとって悪影響です。
就寝直前に42度以上の高温浴をすることで覚醒度が高まり、
入眠を妨げることが示されています。
どうしても就寝前にしか入浴ができない場合は、
シャワーなどで済ますのがよいかもしれません。
(参考)
快眠と生活習慣 e-ヘルスネット
ヒトの体温調整と睡眠 内山真 他 日温気物医誌第 78 巻 1 号 2014 年 11 月
Circadian clues to sleep onset mechanisms. Neuropsychopharmacology. Kräuchi K, Wirz-Justice A. 2001;25(5):S92-S96.
簡易脳波、深部体温と遠位・近位皮膚温から見た温泉浴の睡眠への効果 上村佐知子 他 理学療法学Supplement 2011 (0), Dd0847-Dd0847, 2012
温度、湿度と睡眠 国立精神・神経医療研究センター
健康づくりのための睡眠指針2014 厚生労働省
睡眠前の体温変動が入眠に及ぼす影響 小田史郎
高齢者における足浴の睡眠時間に与える影響https://www.jstage.jst.go.jp/article/onki1962/66/3/663165/_pdf/-char/ja
小川徳雄. 温浴と運動. 鳥居鎮夫編. 睡眠環境学. 東京: 朝倉書店, 1999;203-210